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「離婚」の法律基礎知識  〜 弁護士山岸陽平の考え 〜

 ここでは、弁護士山岸陽平が「離婚」についての法律や手続を解説します。
 基礎的なことがほとんどですが、私なりの考え、解釈、表現が入っています。
 弁護士に相談する前にお読みになれば役立つこともあるかもしれません。

離婚問題で弁護士が関与するのはどのような場合か?

 離婚の種類には、大きく分けて、協議離婚裁判離婚があります。
 協議離婚は、裁判所を通じず、話し合いで離婚条件をまとめて離婚することをいいます。
 裁判離婚は、裁判所で、調停や訴訟をして離婚が決まることをいいます。
 弁護士は、裁判離婚に関わる仕事を多くしていますが、協議離婚にも関与することがあります。
 「裁判所を通さなくても離婚の話し合いができるが、最終的な離婚条項の取りまとめに不安がある。しっかりした形で約束を残したい。」というときにも、相談に来ていただいてかまいません。
 「双方とも離婚をする方向で同意しているけれども、条件(養育費や財産分与など)が決まらない・・・。条件についての話し合いが進まない。」そんなときにも弁護士は仕事をします(むしろ、離婚の裁判は、離婚の可否ではなく離婚の条件が問題になっている事案が多いです)。
 どのような流れで離婚の手続・話し合いを進めればいいのか、ご自身のケースについてどの方法が適しているのかを知るには、弁護士に相談なさることをおすすめします。

離婚を求める立場で考えるべきこと

 まずはご自身で事実(夫婦間で起きたこと)を整理する

 配偶者に離婚を求めようと思う場合、まず、<1>配偶者とやり直すことが本当に不可能なのか<2>離婚の理由は夫婦どちらのどのような行為にあるのか、をよく考えることが必要です。
 その上で、あなたが離婚の決意を固め、弁護士に離婚の相談をする前には、具体的にあなたと配偶者との間で「いつ・何があったのか」をあなたなりに時系列でまとめてみてください。
 もしも裁判になり、離婚の可否や慰謝料の額が問題になったときには、弁護士は、あなたの代理人として、結婚生活で夫婦間に起きたこと(事実)を証拠に基づいて主張することになります。
 なんとなく、「夫(妻)の性格はおかしい」とか「夫(妻)のやり方はおかしい」と言うだけでは、裁判での決定打にはなりません。相手は別の考え方(事実の捉え方)をしていて、水掛け論になってしまうことが多いのです。

 離婚が決まるまでの生活、離婚が決まった後の生活を考える

 夫婦が別居をする場合、離婚が決まるまでの間、収入の少ない側や未成熟子を養育する側(主に妻側)は、収入の多い側や未成熟子を養育しない側(主に夫側)に対して、「婚姻費用の分担」を請求することができます。夫婦は、別居をしていても、お互いに相手を扶養する義務を負っているので、離婚が決まるまでは、生活費や養育費の負担を公平に分担することになるのです。
 これにより、収入が少ない側(主に妻側)も、離婚が決まるまでの生活は、なんとかなる場合が多くあります。
 これに対して、離婚が決まった後は、元配偶者同士で生活を支え合う義務はありませんので、基本的には自活をしていくことになります。もちろん、未成熟子がいれば、養育費の支払義務はありますが、夫婦でいたときの「婚姻費用」に比べると額は下がります。
 なお、「離婚では、夫が妻に高額の慰謝料を支払うのが普通だ」というイメージが世間にはあるかもしれませんが、生活を続けていくだけの高額の慰謝料はよほどの事情がないと認めてもらえませんし、お金がない夫がそれを支払えるとも限らないので、妻側はそれを当てにするのは危険です。
 配偶者に対して離婚を請求する場合でも、このように将来の生活(特に収入源)についてのイメージを持って、進めていくことが必要です。

離婚を求められた立場で考えるべきこと

 理由を確認する

 逆に、配偶者から離婚を求められた場合は、どうすればよいでしょうか。
 まずは、相手が離婚を求めてきているのはなぜなのか、その理由を確認します。
 一般に「離婚事由」とよばれるようなはっきりとした理由(不貞行為、悪意の遺棄、暴力など)があるでしょうか? それとも、「性格の不一致」、「共同生活におけるやり方の食い違い」といった表現に集約されるでしょうか?

 明確な離婚事由がある場合

 はっきりとした離婚事由があり、反論できないような裏付け証拠も残っているとします。そのような場合、離婚裁判になると、離婚の可否の点や慰謝料の点などで非常に不利になります。
 この場合、基本的には、離婚に応じることを大前提として、条件の話し合いになるでしょう。
 ここで注意すべきことは、たとえ「有責配偶者」(夫婦関係破綻の主因がある配偶者)であっても、それだけで財産分与(夫婦でいる間に築き上げた財産を分けること)や面会交流(非親権者が子と会うこと)について特別に不利に扱われるわけではないということです。

 離婚請求の根拠が明確でない場合

 問題は、はっきりした離婚事由がない場合にどうするか、です。
 相手があなたに離婚を求める理由が性格の不一致であった場合、おもにあなたに非があるといえるでしょうか? その具体的なエピソードはどういうものでしょうか?
 あなたに非があるのであれば、非を認め、どう改善するか示し、相手に許しをもらい、やり直すということもありうるかもしれません。非がない(少ない)と考えるのであれば、相手に再考を促し、相手のことを思いやりながらお互いに歩み寄れるか試してみてもいいでしょう。
 しかし、配偶者に対する愛情は、法律で強制されても出てきません。相手の離婚への気持ちが確固たるものであり、相手が話し合いに応じないというのであれば、最終的には別離を覚悟せざるをえないかもしれません(いくら一方が離婚しないと言い続けても、別居が長期にわたる場合には、裁判所は、夫婦関係の破綻を認めて離婚の判決を言い渡します)。
 もちろん、関係破綻の要因がもっぱら相手にあり、もし相手と離婚してしまうと経済的にやっていけない、だから離婚に応じたくない、という場合は話が別です。その場合は、「相互の愛情が復活する可能性はないが、離婚しない」という選択が経済的に合理的なケースであるといえます。

離婚事件は「調停前置」です

 「調停」とは?

 「調停」という手続をご存じでしょうか?
 裁判所(家事事件は家庭裁判所)で、離婚、婚姻費用、面会交流などについて話し合う手続です。
 夫婦のどちらか一方が調停を申し立てると、相手方が家庭裁判所に呼び出されます。調停委員2名(男女)が申立人・相手方の双方から話を聞いて、合意できる点を探ります。
 弁護士が代理人になって申し立てる場合と、ご本人が申し立てる場合があります。弁護士に依頼した場合、調停は、弁護士と依頼人が一緒に行くことがほとんどです。申立てのやり方自体は家庭裁判所の受付で教えてもらえるので難しくないのですが、事案によっては、法律的観点が重要になりますので、調停のときから弁護士がついていたほうがいい場合があります。

 先に調停をしないと訴訟できません!

 「どうしても離婚したい、話し合いは要らない」と思って、いきなり家庭裁判所に訴訟を提起することができるでしょうか? もし強引に訴訟を提起したら、どうなるでしょうか?
 実は、調停をせずに訴訟を提起した場合には、家庭裁判所は、「まずは調停で話し合ってください」と事件を調停に回してしまいます。まずは話し合って問題点を整理して、そこで合意できるならしてください! というのが日本の法律の仕組みであるといえます。
 訴訟を提起した後は、原告も被告も、裁判所に対して、自分有利の判決を出すよう求めていくことになります。非常にざっくりした言い方をすれば、裁判所に対するアピール合戦になります。そうなると、細かな離婚条件の調整をすることがなかなか困難です。
 調停で相手が言ってくることには、腹が立ったり不本意に思ったりすることも多いとは思います。ただ、調停は、お互いの言い分を出し合った上で、譲れるところをお互いに譲って合意に漕ぎ着けられる、いい機会になることもあります。

どのようにして訴訟に発展していくのか?

 訴訟ではなく審判で決まる事柄もある

 訴訟というのは公開された法廷で行う手続であり、非公開で行う調停や審判とは対照的です。
 調停では、調停委員を交えて、歩み寄れる部分は歩み寄るのですが、そこでも夫婦双方の話がまとまらなかったときには、その先、訴訟になるものと訴訟にならないものがあります。
 まず、離婚するまでの婚姻費用分担額については、調停でまとまらない場合、家裁の裁判官が「家事審判官」という肩書きで、「審判」を出します。「審判」は「訴訟」より早く進みますので、婚姻費用(いわゆる生活費)については比較的早く決まるのです。先に「審判」で決まった婚姻費用を、「訴訟」が続いている間ずっと支払い続けている、ということがよくあります。
 面会交流(同居していない親と子が会うこと)も、基本的には「審判」で決まることです。

 調停でこれが決まらないと訴訟になる

 これに対して、一方が「離婚したい」、もう一方が「離婚したくない」と言っている場合、要するに離婚の可否について争われている場合は、「審判」によって離婚が決まることはありません。「離婚したくない」と言っている相手と離婚するのは「訴訟」でないといけないのです。
 離婚をすることにはお互いに同意しているが、「親権」、「養育費」、「慰謝料」、「財産分与」などに争いがある場合は、「訴訟」をする必要があるか「審判」で決まるかケースバイケースです。1点だけの小さな争いであれば、「調停不成立」の段階で裁判所が「審判」をして離婚が決まることがありますが、ほとんどの場合は「調停不成立」になっても裁判所は「審判」をしないので、どちらかが「訴訟」を提起しないと解決しません。

 弁護士は「逆算」する

 もちろん、最初に書いたように、これらは調停までで話し合いがまとまらなかった場合の話です。私が調停段階で代理人に就いた場合には、「もし仮に訴訟や審判になったらどうなるのか」を考えながら主張をします。調停は訴訟や審判とは違って話し合いの場であり、法律を詳しく知らなくても自由に考えを述べていい場所ではありますが、本当はそこでも先を見通して布石を打っておくことが賢いやり方です。



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● 婚姻費用とは何か? (2013.12.11作成)
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